夜中の2時くらいに突然のメール

「起きてるー?いま電話していい?」

何だろうと思いつつも、たまたま起きてたので「いいっすよ」と返事
するとすぐに電話がかかってきた

「いま○○(←テレビの番組)やってるけど見てた?」「ええ」
とか普段するような会話
普段から天然はいってる人だったので、こんな常識外れな時間に電話してくることに何の疑問もいだかなかった


だが、しばらく話してたら、なんか普段と雰囲気がちがう事に気付いた

「先輩、なにかあったんですか…?」
「…」

しばらくの沈黙の後、嗚咽を漏らし始めた

話によると、なんでもレイプされそうになったらしい
たまたま通りがかった人に助けられて警察に行って、帰って布団に入ったところで恐怖がよみがえってきたとの事

その場は必死に慰めて、次の日はラクーアで甘いものをごちそうしたりして、できる限りの心のケアをしてあげたいと思った

しかし俺の努力も空しく、先輩は日に日に痩せていって、ついには入院してしまった
お見舞いに行った時には、もう以前のような明るさもなく、悲しくなった
なんだか先輩が遠くへ行ってしまうきがして、
俺は「ずっと一緒にいますから、ずっと守りますから」なんてクサイせりふを泣きながら言った
先輩は「ありがとう」といって、俺の腕の中で泣いた


次の日、先輩は病院の屋上のフェンスを乗り越え…

後日、彼女の母親から彼女の残した遺書を渡された
家族に宛てたものの他に、もう一通、俺宛の遺書を残してくれていたらしい

遺書には、
俺が先輩に優しくしたことを、すごくありがたくおもったということ
いろいろ迷惑を掛けてごめんなさいということ
そして、
自分はほんとうはレイプされてしまったということ

が書いてあった

そして、犯人の名前も書いてあった
俺と先輩の、共通の友人だった


俺は犯人がどうしてもゆるせなくて、本気で殺すつもりで、
包丁をバッグに忍ばせてそいつの家に押しかけた、
が、留守だった

その晩、そいつはバイクで事故を起こし、死んだ

俺は、俺が殺人を犯さないために、先輩が自ら決着をつけたのだと信じてる