学生時代、友人宅に遊びに行く際、良く通った道。 で、一度深夜に通った事があるんだけど、その際に間違って小道に入った。 (実際は、近道が出来ると思った。) で、小道をグングン進んで行ったら、やがて民家が消え、アスファルトが終わり、 農道の様な土道に変わった。 かなりの距離を進んだけれども何も無く(緩やかな勾配もあったと思うから 何処かに登る感覚だった。)、コリャ駄目だ、引き返そう、と思ったら 突然、ポツンと民家の庭に出た。思いっきり農家の旧家の佇まいだった。 しまった、民家に続く袋小路だったか!と引き返そうと思ったんだけど、 あまりにも今時で無い佇まいだったので、思わず 繁々と車のウィンドウを下げて眺めてしまった。 そしたら、縁側戸の上の小窓が突然ガラリと開いた。 深夜だったから、車の音に何事かと思って家の人が顔を出したのだと思った。 で、「夜分にスミマセン!迷い込んでしまって。直ぐに引き返します。」 って声を掛けて車を切り返そうとしたんだけど、相手側からの反応は何も無い。 まぁ、怒ってるんだろうな、と思って切り返しを続けて、車を反転させた。 でも、どうにも様子が変なコトに気付いた。 人の気配がしない。 縁側戸の上の小窓も、良く考えたら人が顔を出せる高さじゃない。 で、もう一度小窓の方を見てみた。チラッと。 そうしたら、やっぱり人影らしきものは無いんだな。 あれ?と思って、また繁々と見てしまった。 そうしたら次の瞬間、小窓から手(らしき物)がニュッと突き出た。 良く窓辺に肘を着いたりするでしょ。あんな感じ。 で、突然物体が現れてビックリしたのと、もしかしたら民家の方が トットと行け!と言う意味でジェスチャーしたのかと思って、 慌てて車を発進させた。 でも、切り返しを済ませたと言っても、車が庭の出口を向いていただけで スンナリと出て行ける位置付けに無かった。 丁度、内輪差が生じる辺りに背の低い木が植えてあったので、大周り出来る ように車を平行移動させる必要があった。 (実際には踏ん付けても問題無かったのかもしれないが…。) で、要は手間取ったんだな。 そうしたら、小窓がビシャッ!と閉まった。 それから少しの間を置いて、玄関部分が騒がしくなった。 この時に、反射的にヤバイ!と思ってウィンドウは閉じた。 正解だったよ。 玄関の木戸がドタドタと騒がしく開けられて、ヒトが飛び出して来た。 で、運転席側に近寄って来たので、一応は頭を下げる程度はしようと思って そちらを見たんだけど、一目見て「普通」じゃ無いことが判った。 幽霊っぽい、ってのとは違う。そもそも、幽霊は見たこと無いし。。。 ただ、能面のように表情が薄い初老の男性。 裸足。ブリーフ(だったと思う。)一枚。 肩から先が真っ白。何か粉薬を塗っているような感じ。 片手に、何か持ってる(今もって不明)。 で、運転席を覗き込んで来たんだな。 スミマセン、って感じで片手でSorryポーズを作って軽く頭を下げて 車を発進させたら、その爺さんが突然運転席の窓をベタベタと叩いた。 で、ビックリしてブレーキ踏んで爺さんの方を見たら、降りて来い、 って手招きしやがる。で、同時に片手に持ってる何かを見せるんだな。 薬瓶っぽくもあるんだけど、そんなの確認してる余裕も無いし気味悪いから、 もう一度軽く会釈して車を発進させた。 そしたら、今度はフロントウィンドウに覆い被さるようにして来る。 危ないからもう一度車を止めて爺さんを見たら、今度は少し笑ってる。 少し頭に来たので、危ない!ってジェスチャーして、俺はもう行くから、 って手振りをしたら、突然表情が変わった。 怒ってる。 で、次の瞬間、ドア・ハンドルに手を掛けてガチャガチャと開けようと しやがった! うゎ、怖ぇっ!と思って直ぐにアクセルに足を乗せて、急発進させた。 今度はおかまいなし。 そうしたら、その爺さんがしがみ付いて来ようとして、引き摺ってしまった。 それでも車を止めなかったけど。 で、庭を出れた辺りで車を減速させてルーム・ミラーで見てみたら、 爺さんが倒れてるんだな。 ただ、こっちも怖いから降りて行くに行けないし、暫く静観してた。 そうしたら、やがてムクッと起き出して、こっちに走って来やがる! ソレがリアルに速いもんだから猛烈に怖くなって、もうその後は 後を見ずに全力疾走でした。。。 家に帰って車を降りた時、窓に泥汚れ混じりの手の痕がベタベタと付いてた。 完璧にリアルだったけど、どこか現実離れしたような感覚を伴う、不思議な 感じを覚えてる。 で、問題なのは、後日の日中、友人を連れて件の場所に行ってみたんだが、 見付からんのだよ。近道しようとした小道すら。 地図で確認しても判らんし・・・・ |